【完】結婚させられました!?
■第6章:卒業×本心×衝動
□先輩の卒業と、問いかけ:心優side
夏休みのあれ以来、音夜君はいつもと何
ら変わりもなくて。
ただただ、穏やかに過ぎる時間の中で、
先輩の卒業だけが迫ってきていた。
こんなとき、どうしようもなく先輩が先
輩であることを恨めしく思う。
もしも同い年だったら、ずっと一緒だっ
たのに。あと一年、一緒にいられたのに
って。
そんなの、もういくら願っても先輩が留
年しない限りは不可能なんだけどね。
「……はぁ…、先輩が卒業すんの寂しい
なぁ……」
「俺の目の前でそれを言うのかこの鬼畜
」
思わず呟いた本音に、怪訝そうに眉をし
かめたのは、大倉。
卒業式まであと一週間。
私と大倉は、二人で紅白幕を体育館に張
り付ける係になってしまった。
理由は単純。
係を決めたその日の日直が私と大倉で。
勝手に割り当てられたって訳。