【完】結婚させられました!?




「……わかった」


「それなら、よし。ほら、もう行くよ」



体育館で席についていると、音楽と共に
卒業生が入場してくる。



卒業生は皆、胸にブローチをつけていて
、そんな先輩の姿を見つけたら、またジ
ワリと涙が滲んできた。



泣きそうになるのと震える声を必死でこ
らえていたら、あっという間に卒業式は
終わり。



私は先輩と、外に出ていた。



二人で、校庭をのんびり、ぷらぷらと歩
く。他の卒業生もそんな風にしながら、
今まで過ごしてきた思い出に耽っている
ようだった。



先輩の瞳が、校舎を映して、懐かしそう
に細められる。



「……もう、卒業かぁ……」



そんな先輩の言葉に、また寂しさが込み
上げてきて。



「ご卒業……おめでとうございます」



泣かないように精一杯笑って、そう言う
のが限界だった。






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