【完】結婚させられました!?
「……でももう、素直になるから」
ふと、先ほどよりも低い声がして。
大倉を見上げると、大倉は苦しそうに、
泣きそうな表情を浮かべていた。
「もう、諦めるから」
「……え?」
「もうお前のこと、諦める。俺がいくら
想っても、お前は困るだけだろうから」
「そん、な……っ」
困るだけだろう、なんて。
違うのに。そりゃ少しは困ったけど、ち
ゃんと、嬉しかったのに。
だけどそれを伝えるのは、間違ってる気
がした。
そんな風に言って、彼の心を揺さぶるべ
きじゃないと思った。
大倉はきっと、とても大きな決断を、し
てくれているんだろう、から。
「だから……頼む。最後に……一度だけ
、許して」