【完】結婚させられました!?
やっぱり笑顔を浮かべたまま、その人が
口を開いたその時。
そんな低い声が聞こえてきて、その人の
後ろにたっている人物を見て、思わず目
を見開いてしまった。
『お前は練習サボって、なにをしてんだ
。あ゛?』
『……陽介こそ、袴のままで飛び出して
きたの?』
純、とよばれたその人は後ろで不機嫌そ
うにしている神崎先輩を見上げて、苦笑
いした。
近くで見た先輩は、遠くからよりもまた
更にかっこよくて。
袴が嫌味なくらいに似合っていた。
『お前はさ、すぐ目を離すと女を口説い
てるよな。ナンパ癖やめろよ』
『いやいや、俺はただこの子の名前を訊
いていただけで───……』
『それがナンパだっつってんだアホ』
そう言った先輩のげんこつを食らった純
さんは、いててて、と言いながら頭を押
さえていて。