Sweet Honey Birthday[完]
お母さんとの相談の結果を、先輩にメールする。
タイトルは《可愛すぎ♪》。
本文は、
《可愛い!元気になりそうですね。 母は、女の子が良いみたいです。 先輩のお家のわんちゃんは、何ていう種類で名前は何なんですか?》
疑問文で締めちゃったけど良かったかな?そんな事を思いつつ、エイッと送信ボタンを押した。
何故だかすごく緊張していたから、送りおわると脱力感に襲われる。
――…緊張した。ひょっとしたら、水泳の大会に出るより緊張したかも…
一人、初めての感情に苦笑いを浮かべるしかない。
先輩はすぐに返信をくれた。
《了解。ゆっくり名前考えとけよ。 家のは、ウエルシュ・コーギーって種類で、名前はセーラ。今度、会わせてやる》
会わせてやるって…、学校以外で先輩と会うって事?!
思わぬ展開に、心臓が早鐘を打つ。
社交辞令かもしれないけど、男の人にそんなに免疫があるわけじゃないし。
こんなに心臓が働くのは初めてだ。死んじゃうかもしれない、どうしよう。
まだ、子犬を貰うまえなのに!
震える指で、なんとか返信を送る。
《セーラちゃんですか! 可愛い名前ですね。 参考にします。 私もいつか、セーラちゃんに会ってみたいです》
今の私には、そう送るので精一杯だった―――……