Sweet Honey Birthday[完]
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夏休みまで後数日と言う金曜日、いつもメールが入る時間に着信音が鳴る。
誰?と思いながら、携帯の画面を確認すると、そこには《和泉 夏波》の文字。
……嘘でしょ?なんで??!!
急な電話に一人であたふたと部屋の中を行ったり来たりして。
思い切って通話ボタンを押した。
「―…もしもし?」
緊張しすぎて、声が上ずる。電話で話すのはもちろん初めて。
「―…中原?明日は予定があるか?」
急な問い掛けに頭は混乱する。
「明日、明日っていつですか?」
思わずそんなバカな質問をしたのに気付かない位、テンパっていた。
「明日は明日だ。*日。土曜日」
くくっとくぐもった笑い声が聞こえて、顔が熱くなる。
――…見えなくてよかった。
真剣にそう思った。