Sweet Honey Birthday[完]


*****


夏休みまで後数日と言う金曜日、いつもメールが入る時間に着信音が鳴る。

誰?と思いながら、携帯の画面を確認すると、そこには《和泉 夏波》の文字。


……嘘でしょ?なんで??!!


急な電話に一人であたふたと部屋の中を行ったり来たりして。

思い切って通話ボタンを押した。


「―…もしもし?」


緊張しすぎて、声が上ずる。電話で話すのはもちろん初めて。


「―…中原?明日は予定があるか?」


急な問い掛けに頭は混乱する。


「明日、明日っていつですか?」


思わずそんなバカな質問をしたのに気付かない位、テンパっていた。


「明日は明日だ。*日。土曜日」


くくっとくぐもった笑い声が聞こえて、顔が熱くなる。


――…見えなくてよかった。


真剣にそう思った。
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