Sweet Honey Birthday[完]
駅に着くと、先輩はもう待っていてくれた。
ここまで来てから、また緊張で手が震えだす。
少し離れた位置で深呼吸をしていると、私に気付いた先輩が近寄ってくる。
「―…中原、部活お疲れ」
そんな言葉を落とすと同時に、フワッと目を細めて笑ってくれた。
「いえ―…、今日はお招きありがとうございます」と頭をさげて畏まった挨拶になってしまう。
くくっと声が聞こえてきたから顔を上げれば、肩を奮わせて笑っている和泉先輩と目が合った。
「緊張しすぎ、それからかしこまり過ぎ」
そう言うと、頭をポンポンっと撫でてくれた。
――…うう、心臓が…
顔は真っ赤だし、心臓はうるさい。
和泉先輩のお家訪問は、まだ始まったばかり――…