Sweet Honey Birthday[完]
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いつもの時間、いつもの電話。
「あ、そうだ。ちび、いつ渡す?都合のいい日とかあるか?」
先輩のその問いかけに、どきっとする。
「じゃあ、28日でもいいですか…?」
「28?別にいいけど。何かあんの?」
ごくり、と大きく喉が動く。
「私の、誕生日なんです」
「誕生日?28が?まじで?」
先輩が驚いているのがわかる。
なにか変なことでも行っただろうか。
どうしたっていうんだろう?
「?はい」
先輩の様子に、やけに心臓がドキドキする。
「…、いや、俺も28なんだ」
「え?何がですか?」
「誕生日…」
その言葉の意味を、一瞬考える。
そして、
「…すごい偶然ですね。何か嬉しい…」
「そうだな。俺も嬉しい。じゃ、28にすっか」
先輩のほんとに嬉しそうな様子が、電話越しに伝わってきて、私まで頬が緩んで。
「はい」
そう言って電話を切った。