Sweet Honey Birthday[完]
さすがにもう時間も遅いし、このままここでこうしててもしょうがない。
「帰っていいですか?遅くなるし」
さっきあったばかりだけど。話してる相手に黙って帰るわけにもいかないし。
だから、そう聞いたはずなのに、彼は全く違う返事を返してきた。
「俺ん家に、子犬がいなくなったばかりの母犬がいるんだ。
だから、俺が連れて帰るよ。 犬用ミルクとかもあるから、面倒みてやる。
でも、二匹は飼ってやれないから、一匹は引き取ってくれるか?
一匹は、俺が責任持って飼い主探すか飼ってやるよ」
そういって、私の目をまっすぐ見る。
まっすぐみつめてくる瞳を、同じようにみつめ返す。
どうしようか、ここで返事をしていいものだろうか。
同じ学校なのは確かだし、見た目はちゃらそうだけど、良い人っぽい。
ここは自分の勘を信じるしかない。
うちは一軒家だし、小さいけど庭もある。
多分、親もむやみに反対したりはしないはず。それに、私が見つけたのも何かの縁なんだとも思う。
そこまで考えて、みつめていた瞳をふい、とそらした。