Sweet Honey Birthday[完]
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翌日、昼休みになってから和泉先輩の所に行こうと思って廊下に出ると、和泉先輩も私の所に来ようとしていたらしい。
「中原、ちょっといいか」
チョイチョイっと手招きされて、首を縦に振る。
私の返事を確認してから、先輩は歩きだした。
中庭の木陰に隣同士で座り、どちらともなく話を切り出した。
「昨日はありがとうございました。助かりました」
「いや、別にいいさ。家の犬が喜んで世話してる。
まだちょっと弱いけど、死にそうな程じゃないし、すぐに元気になりそうだ」
その話を聞いて、嬉しくなって思わず頬が緩み、ゆるゆると口角が上がる。
私をじっと見ていた和泉先輩は、「中原、笑うとエクボが出来るんだな」と言って目を細めて笑って。
そんなやり取りをしていると、思わずもう一つの本題を忘れそうになってしまっていた。