sai
それは、普通の人間ではない、という事。
最初から、わかっていた事だけど…



でも、ネオの、手が滑り落ちそうな位きれいで、柔らかい頬の感触は、今もこの手が覚えている。

ネオに触れた時の、あの、心が打ち抜かれた様な、すべてがネオに向かった感覚も。
心臓が破裂しそうな程、ネオで僕の心が溢れそうになる感覚も。


僕にそれをもたらしたネオの存在は、確かなものである。





 「ようこそ、高宮在の家へ。」
ドアを右手で開けた。
「おじゃまします…」
ネオは、緊張している様だ。
「そんなに、緊張しないでください…」
実は、そう言う僕も緊張していた。
 ネオがしゃがんで、ワンピースの布を左手で抱えながら、靴を玄関の角にきれいに揃えている背中を、そこにある美しい髪を、そんなネオの姿を。僕は、ずっと見ていたかった。

 こうして、ネオが再び僕の部屋に来た。
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