sai
よく僕は、日本人と外国人とのハーフですか、と聞かれる。
色素の薄い髪と肌、灰色がかった眼、この顔立ちは、生まれつきだ。
そんな僕は、生まれた時から、病院の外に出た事なんて滅多に無かった。
学校は、ずっと院内学級の先生が病室に来てくれていた。院内学級の教室に行く事さえ、その頃の僕には許されていなかった。

やがて僕は、パソコンで出来る仕事を始めた。


そんな風に、生まれてからずっと、人との接触が少なかった僕は、人と関わる事が苦手だった。



勿論、恋なんてした事なかった。



僕が知っている人間は、母さん、父さん、主治医、沢山の医師や看護婦…途中から看護師と呼ぶ様になったが、他には、院内学級の教師位しか知らない。見舞いには、僕の記憶に残っていない頃に来た親類はいたらしい。仕事先は母さんの友人の会社だった為、仕事に関する外部との関わりは、母さんや母さんの友人に委ねていた。

母さん、父さん。僕は、幸せだったよ。これからだって、ずっとそうだよ。きっと。
それでも…


生まれてからずっと
気付いたら、僕はずっと1人だけの病室で、窓の外に憧れていた。

さみしかった…





細長い体。
日本人離れの美しい外見。
静かで、少し不器用な性格。



高宮在、27歳。最期の夏。
< 2 / 32 >

この作品をシェア

pagetop