sai
 その時だった
「あのビン…」
それは、破ったのに捨てられなかった、母さんからの手紙だった。僕は、それを小ビンに詰めて、大切に保管していた。
「…あれは、僕の…大切な…」

 「…在…?」
ネオは明らかに困っている。でも、こんな時のそんなネオさえ可愛いと思う僕は、自分でさえ理解出来ない。
「あれは、母さんからの…手紙なんだ…」
穏やかな表情になれた。自分で、それがわかった。でも、

…何で涙が

「母さんが、僕が…ここに来る事を…」

何故だろう
過去が…

「僕の生きたい様に生きなさい、って…」

記憶が…

「父さんが…死ぬ直前に…っ」

溢れ出す…

「うん…」
ネオがそう言いながら、優しい顔でゆっくりと頷く。
ネオ…

「僕は…っ」
なみだがとまらない

「在」
ネオの美しい声が、優しく僕を呼んだ。
僕は涙を拭きながら、沈んだ顔をネオに向けた。
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