sai
父さんが死んでから、母さんは、強くなってる。
だから、僕の病気を受け入れて、涙を流す事は無くなったのだろう。

父さんが死んでから、母さんは、強くなってる。

父さんが死んだ時の事。
それがきっかけで、今、息子と生きて別れる事。
僕の今は、父さんが死んで母さんが、僕の病気を受け入れた事から始まった。

だからこの手紙を書いた時、母さんは泣いたのだろう。




母さん、父さん。

忘れたいのではない。
僕の心に、ずっとあるから。

僕の心に、ずっとあるから。






 真っ白な部屋の真っ白なベッドに真っ白な服に身を包んだ色素の薄い体の在が、そこに身を沈めると、在はそこに溶けている様で、破られた手紙と流れ続ける在の涙が、悲しい程にはっきりと見える。
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