O.L.~Maple Honey Syrup~
あの会話から数ヶ月が経った。



予想通り一葉(イチハ)は忙しい。デスクについても数分後には呼ばれて席を立つ。



目まぐるしい…まさしくその状態。



メールでも疲れているのを感じる。だから電話なんて出来ない。



「これ良いね」
『ありがとうございます』



私の方もそれなりに忙しい毎日。



「空間利用が本当に上手いですよね」
『ありがとう』



私の配属している課は殆ど男性。女性も居るけど、事務の人で総務からの応援。



実質女は私だけ。でも、此処のチームは特別視しないから嬉しい。



だから厳しくて涙が溢れそうになる時もあるけど。



「凛々(リリ)じゃないと受けない人もいるしな」
『嬉しいかぎりです』



設計課は少人数なのでチームワークは企画部随一!



課長の方針で名前呼び。最初は一葉だけ…特別と思い抵抗があった。



でも、呼ばれ続けると慣れてくる。



「よし!これが通ったら呑むぞ!」
『「はいっ!」』



今日1番の返事をすると、課長は苦笑。それにつられて私達も笑う。



でも、笑っていられるのは今だけ…。



これが通ったら…と言うのは、私が設計している案件が通ったら。



此処数日残業で設計してしているが、課長のOKサインが出ない。



『課長って絶対にSだ』
「ですよね…」
「俺はドMだよん♪」



不適な笑みを見せて立ち去った。



「そういう所がSなんですよね」
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