O.L.~Maple Honey Syrup~
『取締役の秘書ですか…』



取締役の秘書が寿退社したから後任に私が指名された。



でも、私は入社して5年も経っていない。それなのにいきなり取締役の秘書なんて…。



『私に勤まるでしょうか』
「愛理ちゃん秘書検定もってるよね?」
『はい、1級を持っています』
「はい!宜しく」



そんな簡単に決めていいの?



受付の居心地は悪い。此処じゃないっていつも思っている。



でも、組織に属する社員としてはそんな我が儘は通用しない。



「てか、これは決定事項だから宜しくねん」
『決定事項…』



って事は人事異動?



「愛理やっと分かった?」
『はい』
「了承したから取締役はお引き取り願いたい」
「お茶残ってるんだけど」



雅史さんはお湯呑みを持たせ、立ち上がらせると背中を押してドアまで連れていった。



「種明かししましょうか?」
『種明かし…』



この人事異動には仕掛けがあるようだ。
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