O.L.~Maple Honey Syrup~
バランス

甘さLevel ★★★☆☆

『やっと終わったよぉ』
「お疲れ様」



大きな仕事が終わると必ず向かう先は社食。



社食に我社のカウンセラーと言っても過言じゃない人がいる。



『麻ちん何かガツンとくる物Please♪』
「ガツンねぇ…カツとか?」
『いいねぇ!ビールが欲しくなる』



何処かでお店を出しても可笑しくない腕前の調理員。麻希ちゃん!



凄腕なのに何故か社食で働いている。



まぁ…その何故を知っていたりするが…。



「この時間だと余りしかないよ?」
『構いませぬ』
「じゃぁ、準備するね」



誰もを受け入れ、ホッとさせる。



我社のお局様達すら麻ちんを頼っている。所謂愚痴っている。



そんな愚痴にも嫌な顔せず聞き、欲しい返事をくれる。



「玉子とじにしたよ」
『わぁ~ありがとう♪』



ちゃんと温かくして出してくれる。本来は閉まっている時間にフラッと顔を出した。



だから冷や飯でも文句は言えない。



「部長サンの評価は?」
『受け取った』
「えっと…合格って事?」
『多分…』



麻ちんはクスクス笑いながら「分かりにくいね」って呟いた。



通常モードは「これでもか!」って位分かりやすいのに。



経理部の鉄壁男と同じ部類だよ。あんなに無愛想じゃないけど…。



『本当美味しかった』
「今度は出来立てを食べ来てね」
『了解であります!』



腹ごしらえをして部署へ戻る。数名が残業で残っていた。



「お疲れ様です」
『あれ?佐和ちゃん未だ残ってたの?』
「その…」
『はいはい…』



企画部の癒し系佐和ちゃんは同期と付き合っている。

白昼堂々会社の前でナンパをかましお付き合い中。そんなアホを待っているらしい。



「先輩は?」
『別件があるから』
「じゃぁ、コーヒー入れてきますね」



その言葉に鼻の下を伸ばしきった男共が「俺も」と手を挙げる。



盗み聞きか…。



『チクるよ?』
「それは…」



何故か公認の仲なのにビックリ!鉄壁男はひた隠しているのに。



「皆さんの分も入れますね」



これじゃぁ、心配で公にしたくなるよね。



『さて、始めるか』
< 8 / 59 >

この作品をシェア

pagetop