俺の事どう思ってる?!
『べ、別に…来ないでとは言ってませんから…』



 治りかけの赤い顔で素っ気なく言った。



 弥生は舞奈の性格からして、まだ顔が赤いと分かっていたから思わず吹き出して笑う。



 舞奈は口を膨らまして流れる外の景色を見ていた。



 彼には敵わない…。



 年上だからとか社会人だからとかではなく…。



 惚れてしまった…からだ。



 ただそれだけの事だが、とても偉大で効果のあるコトだった。



「分かってるよ。1度も来るなとは言ってないもんな」



 大人の余裕…そう感じるしかなかった。


 腹が立つことが日常茶飯事だが悩んだ時、傷付いた時そっと優しさをくれる弥生は絶対的存在になっている。



「また夜迎えに来るよ」



 それでも舞奈にはやりたい事がある。



 遊びよりもデートよりも…。



 舞奈にはお金が必要なのだ。



『うん…連絡するね』



 弥生は舞奈がなぜこんなにもお金が必要なのか分からない。絶対に口を開こうとはしないから聞くのをやめた。



 車を降りてバイト先へ歩く舞奈の後ろ姿を見て、思わず溜息が出た。



「ただ見守るってのも辛いんだぞ…」
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