俺の事どう思ってる?!
天才と努力

秀才

 中間テストが終わると学年展が開催される。



 学年展とは生徒達が自主的に企画・運営する展覧会で各学科ごとで開催する。



 中でも服飾科は盛大で全学年合同で開催し、学校外からもお客さんを呼びファッションコンテストを行っている。



 テーマはその季節に合った服飾を出品する事となっている。



 1年は基礎学習の為、サポートに回るから実質2年で本格的デビューとなる。準備にも時間が掛かるので、流石に舞奈のバイトも遅くからとなる。



「えっ?弥生さんと連絡取ってないの?」
『うん。学年展の準備で忙しいから』



 素っ気なく香の問い掛けに答える。あの一件から舞奈は連絡を絶っている。



 怒りが治まらず、まともに話す自信がないのである。



 日課となったお迎えも、学年展があるからとメールで断り一切の連絡を絶った。時折連絡が入るが全て無視を続けている。



「喧嘩でもしたの?」



 昼休みで舞奈と香と紫江3人でご飯を食べていると、最近弥生の迎えが無い事に気付いた2人が問い掛けている。



『喧嘩はしてないよ』



 また素っ気なく答える舞奈に2人は首を傾げる。



 舞奈の表情から怒っているのは分かった。でも喧嘩ではないと言っている。すると紫江が目を見開き叫んだ。



「浮気されたんだ!」



 紫江は教室にいるのも忘れ叫んだので、一斉に皆が振り向いた。



 昼休みだから少なくなってはいたが、半分くらいの人数は残っている。振り向かれた視線はすぐに戻ったが、その中には夢人もいた。



 夢人は紫江が叫んだ「浮気」の一言で、友人とご飯を食べていたが急に席を立ちある所へ向かった。



「治いる?」



 駆け込み寺の入口近くにいる人に声を掛け、指差す方へ歩いていると治が振り向いた。



 表情を見ると、すぐに一緒にいた友人に声を掛け、夢人と2人で教室を出て治は(カウンセルルームと呼んでいる、)端っこの空き教室へ入った。



「一発殴らして…」
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