俺の事どう思ってる？！
「悔しかったらココまでおいで」



　嫌味とも余裕とも取れる言い方に何も言えず睨み返すしか夢人には武器が無かった。



　分かっていて弥生は言ってきた…でも事実を言われている。弥生には敵わない…悔しさが拳に伝わり、手の平は爪が食い込み血が滲んでいた。



　ヒラヒラと手を振り車に乗り込むのを見た時に、手の痛みが返ってきた。



「……っ」



　見送るしか出来ない自分に腹が立つが、他にやるべき事があるという事も分かっている。夢人は最後まで見送らず実習室へ歩いていった。



「夢人、余程悔しかったんだね…」



　苦笑いを見せる香の言葉に反論する人はいなかった。からかって遊んでいた治すら夢人の後ろ姿に同情した。



　弥生よりも早くに舞奈に出会い、淡い思いを抱いていた事を治は知っている。だから舞奈の隣に居るのが弥生と言うことに、少なからず悲しみを持っている。
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表紙・目次

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