俺の事どう思ってる?!
「皆が幸せなんて有り得ないのよ…」



 紫江の乾いた言葉に気づかれない様に頷く。当て嵌まる節がある。



 誰にでも同じ優しさを見せる彼…。



 自分に限って一目惚れは絶対に無い!と思っていたが入学式に満開の桜の下で友達を待っている姿に淡い思いが芽生えた。



 風に吹かれ舞い散る桜を見上げ綺麗で、はかない笑みが決定打となった。



 しかし…この思いは誰にも見せてはいけない。



「夢人みたいに素直になれればなぁ…」



 誰にも気づかれない呟きを放った。無い物強請りを言ってるのに自分に苦笑いが出てきた。
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