泡の人
4.泡の想い
此処まで真剣に言われて“冗談でしょ?”と言う事も出来ない。

その男の人の影響で変な食べ方をするようになった事。

もう1つ、その人の手掛かりを探す為の“想い出巡り”だったと言う事だけは分かった。

すると坂森さんは重い腰を上げて、僕に言う。

「此処があの湖。まさかこうなっているとは思わなかったが…

って、悪い。長話になったな。次の場所だ。探しに行くぞ」

不思議な事に自然と協力をしたいと思うようになる。

さっきまでそっち系の人と思っていたのがバカみたいだ。

「ごめん」

そう小さな声が僕の耳に届いた。声は坂森さんのもの。

でも、表情は申し訳なさそうと言うよりかは決意も新たにしたような様子。

もし彼の物だとしたら僕は言いたい。“謝るのは僕の方だ”と。

坂森さんが謝るような事を……していないとは言い切れない。

兎に角、今坂森さんは謝る必要なんて何処にもないのだ。だから気のせいだと思う事にした。
< 19 / 28 >

この作品をシェア

pagetop