泡の人
「それじゃ名前でも呼んでもらおうか」

突然そう言われる。仲良くなる為の第1歩かと思いきや、邪魔をした罪滅ぼしも兼ねているそうだ。

本当にこの人は執念深い人だ。呆れかえってしまう。

「苗字だと堅いし。それに苗字だけが名前じゃない」

それもそうか。妙に納得して名前で呼んでみた。“それで良い”とリュウは僕の頭に手を乗せた。

それを振り払うと、今までのお気楽な雰囲気が一変。何か悪い事でもしたのだろうか?

「いた……!仲間の言った通りだ。本当、運が良い」

彼の視線の先を見るとそこにいたのは僕の従兄。名前はイクト。

もしかしてリュウの探していた人って、イクトなの?彼が生まれ変わりなの?

イクトも僕達に気付いたのかこちらにやって来た。

「ミチルこんな所で何やって…って、その人誰?」

僕はイクトにリュウの事を説明した。リュウを見れば少しだけ頬が赤い。

これで確信した。リュウの想っていた人の生まれ変わりが、イクトである事を。
< 21 / 28 >

この作品をシェア

pagetop