泡の人
僕の母親。この人は本当に世話焼きなんだと思う。

そうでなければ森坂さんを夕食に招いたりしない。

“一人暮らしで大変でしょ?”

“料理を何時もより多めに作ったの”って言って。

それで森坂さんは断る事もしないでこうして居るし。父さんも快諾してさ。

僕の気持ちは無視ですか。ああそうですか。と少し悲しみに浸る。

これで僕の妹…レイカがいたら母さんと一緒になって騒ぐ。だから最悪だっただろう。

良かった、全寮制の学校へ行ってくれて。

両親と森坂さんの会話で分かった事。僕は興味がないから聞いているだけ。

森坂さんはクオーター。父方の祖母が外国人との事。

お酒に弱い。だから父さんが勧めたお酒も飲まなかった。

このマンションは父親の友人の物で、その縁で借りる事が出来たそうだ。

「しっかりしているのねえ」

「そうでもないですよ」

感心する母親に、森坂さんはそう一言。

父さんは“謙遜するな”とお酒も入っているからか上機嫌だ。
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