【完】1mの距離
 あーあ、あんなこと言うんじゃなかった。


 足を引きずりながら後悔する。


 後、家までどれだけあるんだろう?


 後ろを振り返るとまだ、学校が近くに見える。


 はぁ、気が遠くなるよ。


 「おい。」


 「なんで?里奈ちゃんと帰ったんじゃないの?」


 「ああ。帰ったよ。それから、もう1回引き返してきたんだよ。絶対、美佳が無理して言ってるなって思ったから。ほら、帰るぞ。」


 「ありがとう。2度手間なのに…。」


 「余計なこと気にしなくていいんだよ。そのまま帰ったのバレたら、母さんに怒られるし。」


 「そっか。ありがとっ!」


 私たちはいつもの2倍の時間をかけて、やっと家に帰った。


 でも、私1人だったら、あとどれだけの時間がかかったかわからない。


 ホントに健は優しいんだな。
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