恋愛指導は秘密のくちづけで
「手、出しなさい」


塚越先生は落ち着きを払った声でわたしを諭す。


口元は笑っているのに、目の奥は笑ってはいなかった。


「ほら、手、出しなさい」


塚越先生の前に右のてのひらを差し出す。


「ほら」


塚越先生のベストの胸ポケットから小さく折りたたまれた紙と、1個のレモンキャンディーを取り出し、てのひらにそっとのせられた。
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