恋愛指導は秘密のくちづけで
高校の思い出話に花が咲く。食事を終えてわたしと先生は外に出た。


裏通りということもあり、あまり人の姿は見えない。


駅方面へ足を進めていくと、歓迎会の帰りに寄った公園の前にたどりついた。


「……桜木さんは、元気ですか」


サクラギ、という言葉に一瞬目を丸くしたが、すぐに普通に戻った。


「桜木か。どうしているんだろうな」


アゴに手をやり、首をかしげている。


「桜木さんとはその後は?」


「その後もなにもないよ」


「え……」


言葉に詰まる。


心の奥がぎゅっとなる。


苦しくなるけれど、それをなんとか押しこめる。
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