恋愛指導は秘密のくちづけで
「流されていただけだった。お互い、雰囲気に」


ガラガラと崩れ落ちる音が頭の中をかけめぐる。


「おまえが観ていても観ていなくても終わってたんだよ」


「でもその気があったからあんなことしていたんですよね」


「その時はほんのちょっとだけだけどな」


塚越先生はそういうと底に小さく残るビールを飲み干した。


「何のための秘密なのか、わからなくなっちゃうじゃないですか」


体が急に熱くなり、目からは涙がこぼれ出した。


「ごめん。本当のことを話すから聞いてくれないか」


堰をきったようにあふれる涙はとまらなかった。


「俺はな、おまえのこと、好きだったんだよ。本当は」
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