恋愛指導は秘密のくちづけで
「いっつも学校の行事の準備とか俺の雑用を頼んでも進んでやってくれる。かわいらしかった」


「でもどうして桜木さんと?」


「けしかけられたんだよ」


「けしかけられた?」


「お前が俺のことが好きだって桜木が言ったんだよ。誰にも言わないからひとつだけ願いを叶えてほしいって言ってきた」


「それで、あの冬の教室で」


「……そうだ」


塚越先生のメガネの奥はいつもより力強さが足りなかった。
< 185 / 263 >

この作品をシェア

pagetop