恋愛指導は秘密のくちづけで
佐伯さんと中西さんは同級生で同じ高校に通っていたとうわさで聞いた。


「見るからにドン臭いしさ、佐伯ちゃんも怒ればいいのに」


「ぼーっとしてるところもあるけどさ」


「とくにさ、学生バイトの子と仲よくしちゃってさ、何考えてるんだろ」


「もしかして、彼氏探しとか」


「かもね」


ゲラゲラと声がこだましている。


わたしは踵を返し、トイレを通過し、非常階段の扉を開く。
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