恋愛指導は秘密のくちづけで
「柏葉さん」


白衣を着ている万里くんが立っていた。


「お疲れ様です」


「どうしてこんなところにいるんですか」


「別に。万里くんこそ」


「オレは高校生用のパンフレットを入れる空きの段ボールを一階にとりに行こうと思って」


「そう」


「何か、ありました?」


万里くんは不思議そうにわたしの顔をみていた。


「何もないよ。ただ気分転換に非常階段に出てみただけ。段ボールだっけ。わたしも手伝おうか」


「お願いしてもいいんですか」


「ここにいる理由作っとかないとさ」
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