恋愛指導は秘密のくちづけで
「今の柏葉さんは違いますよ」


「え? 何が」


「わからないですよね」


四階の扉を開き、事務所に通じる床を歩く。


「ありがとうございました」


そういって万里くんはわたしの持っていた段ボールも持ち運び、作業台まで持っていった。


自分の席に着こうとしたとき、中西さんがわたしの名を呼んだ。


「柏葉さん、何やってたの。生徒さんが話があるって」


捨てて吐きながら、ったく時間つぶしてんだよとつぶやいていた。


わたしは聞かないフリをして、受付にいた生徒に近づく。
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