恋愛指導は秘密のくちづけで
階数が下がっていくのを見送って、わたしは自分の席に向かう。


「柏葉さん、大丈夫?」


佐伯さんが眉毛をハの字にさせていた。


「すみません、ちょっと席はずしちゃって」


「生徒の子たちも受付でイラついていたから、柏葉さんが何かやったのかな、って思っていたんだけど」


「大丈夫です」


「それならいいんだけど。少し早いけど、今日は上がっていいよ。宮元さんと


近藤さんには言っておくから」


「お言葉に甘えて今日は失礼します」


机の上にあったノートパソコンを閉じ、机にあったものを引き出しに戻し、佐伯さんに挨拶してタイムカードのある場所へ移動した。


万里くんとツッキーが談笑しながら塾の日報を書いているところだった。
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