恋愛指導は秘密のくちづけで
「雨ひどくなってきたな。どっか泊まろうか」


食事を終え、レストランをあとにした。互いに傘をさしつつ、タクシーを拾おうとしていた。


「もうちょっと歩きませんか」


「そうだな」


駅の道を抜け、あの公園の道を通る。


すでに桜の木は近くの街灯を覆い尽くすように多くの葉が生い茂っていた。


わずかな光が雨で濡れた葉や木を照らしていた。


「もうずいぶんと時間が経っているのに、まだわたしのことを好きだって思ってくれていたんですか」
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