恋愛指導は秘密のくちづけで
「……やめてください」


せいいっぱいの力を込めて、先生の体を押しのけた。


「柏葉何いってんだ」


「……ごめんなさい」


「後戻りできないことわかって会ってるの、わからないのか」


空気が重い。これは梅雨のせいなんだと言い聞かせる。


「リスクを負ってまで会いにきている意味、わかるよな」


「知ってる。知ってるけど」


「昔からおまえはそうだよな。物欲しそうな顔しやがる。俺が与えてやれば満足するんだよ」
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