恋愛指導は秘密のくちづけで
「柏葉」


「……塚越先生、何でここに」


「駅前の市民展示場で大学受験説明会があってな。ついでにどんな塾か見てみたくて。近藤さんにお願いしたわけだ」


「そ、そうですか。ちょっと移動しませんか」


「ああ」


受付カウンターからエレベーターホールへ進み、エレベーターに乗る。


二人だけの静かな密室は湿気をはらんだ空気以上に重く、苦しく感じた。


ようやく1階につくと、何事もなかったかのように塚越先生は降りていった。
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