恋愛指導は秘密のくちづけで
「柏葉さん」


後ろから息をはずませながら、万里くんが近づいてきた。


「柏葉さん、駅のほうなんだ。オレもなんですよ」


そういって、わたしの左隣に並んだ。


「まだ、時間ありますか?」


「時間? あるけど」


「酔いざましにちょっとだけ、回り道してみませんか?」


断れない空気を察知し、わたしは黙ってうなずいた。
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