恋愛指導は秘密のくちづけで
「葉桜が柏葉さん?」


万里くんは隣で首をかしげていた。

「きれいな花を咲かせるなんて名前負けしてるし、苗字の葉っぱのひとつのほうが自分に合ってる」


わたしがそう言い切ったとき、万里くんは咳払いをした。


「きれいな花を咲かせる前の準備で葉を広げてるんですよ。まるで羽根を広げて優雅じゃないですか」


照れくさい言葉を穏やかに話す万里くんに一瞬だけどきりとした。
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