溺愛マリオネット
逃げ出すこともせず、ただベットの上に座り一点を見つめる。
その姿はまるで人形。
そう言えば、私の母は私が思い出話をするとひどく叱られた。
だから私は幼い頃に母に言った気がする。
〝思い出は全部きれいだよね、お母さん、だから昔の事知りたい〟
そう言うと母はこう言ったのだった。
〝珠季の思い出は1つ要らないものがあるの、酷く苦しい思い出が…苦しい思いしたくないよね?〟
私の記憶に彼はきっと居るのだろう。
それもとても近くに…。
でも分からない。
いくら思い出そうとしても私の脳が、記憶が、錆び付いて固くなに鍵をかけてしまってる。