女社長の彼氏は秘書様!?(仮)
音羽side
音羽は現役女子高生で、平日はちゃんと高校に通っている。
「今日は確か午前授業だったよね…」
朝、制服に着替えながら仕事机の上のパソコンに表示してある予定表に目を通す。
今は、高校2年の冬。
春休み前もあって午前授業が多い。
仕事が忙しいから正直音羽は助かっていた。
ネクタイを締めて、準備を済ませるとエレベーターから降りて、会社を出た。
******
「おはよー」
学校に着くと、教室に行くまでの廊下の途中で友達に後ろから声をかけられた。
「おはよう」
横に並んだ友達に挨拶をいつも通り返した。
「今日、午前授業だよ。超ラッキー♪」
午前授業ということに同じく喜んでいるこの友達の名前は、吉川 奈都未(よしかわ なつみ)。
高校に入ってから仲良くなった親友の1人。
だけど、音羽が社長をしていることは知らない。
「だね。早く帰れるわ〜♪」
あたしと奈都未は上機嫌で教室に入った。
「バイトぉ!?お前が?」
教室に入った途端に何やら騒がしい声が聞こえてきた。
あたしと奈都未は机に鞄を置くと、目を見合せた。
「うん、まぁ…」
何やら、クラスの男子数人が集まって1人の男子に詰め寄っていた。
とはいえ、仲違いをしていたわけでなく、何やら問いただしているようだった。
「柚希君バイト始めるのかなぁ?」
クラスの注目の的となっている男子を話題にして、奈都未はあたしに話しかけた。
柚希君というのは、その注目の的となっている男子に問いただされている男子のこと。
「バイト…」
そう言えば、あたしも早く秘書見つけなきゃなぁ〜…。
昨日、自分には管理をしてくれる秘書が必要だと考えていた手前、バイトと聞いて不意に思い出してしまった。