女社長の彼氏は秘書様!?(仮)
30階の内、1階は受付ホール、2階から26階までオフィスや会議室などで、今音羽が降りた階は音羽の仕事部屋兼生活スペースになっている。
エレベーターを降り、すぐ正面にあるドアの前に立つ。
このドアに鍵は無い。
指紋認証で入れるようになっている。
まぁ、鍵を持ち歩かなくていいから楽よね。
いつものように、指をかざしてロックが解けたドアを開け、中に入った。
玄関からは少し廊下が続いていてその先にまた扉がある。
それを開けると、1番先に目に入るのが立派な仕事机。
左には滅多に使わないキッチン。右には高級感が漂うソファが並ぶ。
「はぁ〜…」
仕事机の椅子に倒れ込むように腰かけると、不意にため息が溢れる。
椅子に腰かけるけど、絶対に後ろは見ない。
何故かって?
あたしの部屋…というか、この会社はガラス張りのビルで勿論あたしの部屋もほとんどガラス張り。
27階だからプライバシーは保護されてるんだけど。
だから、なんで後ろは見ないかって?そりゃ…
高所恐怖症だからよっ!!
椅子の後ろはすぐガラス窓。振り返れば、それはそれは素晴らしい景色が広がっているよ?
だけど、高所恐怖症の人にとってはただの拷問。