女社長の彼氏は秘書様!?(仮)
俺の母親は俺が2歳の時に病気が原因で他界した。
父親は今でも母親のことを愛していると言っている。
その時から、美容師の仕事をしている父親が頑張っている分、俺は家のことを頑張ることにした。
母親が亡くなってから、父は女性を大切にするという気持ちが強くなったらしい。
父が経営している美容室に訪れる女性は、容姿が優れている父親に何かと相談を持ちかけた。
それに、律儀に対応する父親も父親だ。
結局、今回みたいなことに巻き込まれるんだ。
「それで、柚希君にもう1つ…」
まだ、頭の中が混乱している俺に父親は恐る恐る話しかけた。
「なに?」
もう、何を言われても驚かないぞ。
そんな妙な意気込みをしたけど、その意気込みは木っ端微塵に砕かれた。
「この家売らなきゃなんなくて♪」
語尾に♪なんて付けちゃって、とうとう頭がイカれたのかと思った。