聴かせて、天辺の青
ぎゅうと押さえる彼の手は薄ぺったくて、指は細いのに、どこからこんな力が出るんだろう。もう離してくれないんじゃないかと思えるほど、強く握り締めてくる。
まっすぐに私を見つめる彼の目が、ゆらりと潤んでいるように思えた。
「俺が知りたいんだ、アンタのこと」
発せられた低い声は、いとも容易く体の中へと沁みていく。声は力強い波を伴って、私の胸の奥深くへと沈み込む。
いったい、何の冗談なの?
「だから……何? まさか、まだ酔ってる?」
言い返したのに、まるで自分の声じゃないみたいに震えてしまう。
こんなはずじゃないのに。
もっと強く突き離したいのに、手を振り解きたいのに、目を逸らしてほしいのに、彼はまだ私を見つめたまま。私の手を強く握り締めたまま。
私に、どうしろって言うの?
彼は包み込んだ私の手を、ゆっくりと両手で持ち上げて目を閉じた。やっと解放されたというのに手を引っ込めることも忘れて、私は彼の行動を目で追ってしまう。
私の手の甲に、彼の鼻先が触れる。
そっと離れた鼻先に代わって、静かに唇が落とされた。柔らかな感触が手の甲に這わされて、胸がざわめき始める。
「アンタのこと、俺に教えてくれないか?」
言い終えた彼の目に、自分の姿を見てしまった。