聴かせて、天辺の青


彼の視線を避けるように、軽く目を閉じて一呼吸おいた。


彼が私の話を真剣に聞こうとしてくれてるのがわかる。きっと、なんて馬鹿なんだろうと思うに違いない。


「いいよ、話して。大丈夫だから」


そう言って穏やかな笑顔を見せてくれるけど、何が大丈夫だと言うんだろう。


私に対して?
それとも彼が?


何を聞いても驚いたりしない、とでも言いたいのだろうか。


すべてを話してみようと思っていたのに、今さら怖気付いてる自分が情けない。だけど、引き下がれない。


「年末に英司の家で全部話したけど、英司は驚かなかった。一緒に聞いてたおばちゃんの方が驚いてて、申し訳なかったぐらい」


もしかしたら別れ話になるかもしれないというのに、何故か英司の家のリビングで話を切り出した。どこか外に出て話せばよかったのかもしれないけど、あの時は考える余裕なんてなかった。


おばちゃんは台所で、私が手土産に持って行ったロールケーキを切り分けてくれていたところ。聞こうとして聞いてたんじゃなくて、聞こえてしまったらしい。


おばちゃんの裏返った声に、私と英司は同時に振り向いたんだ。





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