聴かせて、天辺の青
おばちゃんが台所の片付けと掃除や洗濯をしている間に、私は酒屋の二階にある宿泊スペースの掃除をする。
部屋には一応鍵がついているけど、和田さんたちは三人とも鍵を掛けないで出かける。貴重品はいつも身につけているし、盗られるような物は持ってないから大丈夫だと。
三人は、おばちゃんや私を信用してくれてるらしい。ここに来るのは初めてではないから。
彼らは大見半島にある発電所の定期検査工事のため、ほぼ毎年やって来る。時期は春先か秋。約二ヶ月間滞在して、仕事を終えると帰っていく。
有田さんはまだ二回目だけど、和田さんと本郷さんはもう十年以上泊まりに来ている。和田さんなんて、私が生まれた年から来ていると言っていた。
窓を開け放って、無造作に畳まれた布団を窓枠に広げて干す。
三人とも私たちが掃除しやすいようにと、部屋の隅に荷物を纏めてくれているから助かる。
一通り掃除機を掛けて、軽く畳を拭いて終了。窓枠に干してる布団は、午後になったらおばちゃんが取り入れてくれることになっている。
共用スペースにあるお風呂と洗面、トイレの掃除も簡単に済ませて終了。
さほど時間は掛からない。一時間もあればできてしまう。