聴かせて、天辺の青


そして、すぐに意味も理解できた。


最初は少し歩調が違うとか、違う方向を見ているとか、些細なことだったのかもしれない。


だけど次第に歩調の違いは大きな隔たりを生み、見ている方向が違うことは互いの進む方向さえ変えていく。


英司と私と同じように、河村さんと旦那さんも僅かなズレを修正することができなくなっていった。僅かなズレは時を追うごとに広がっていくばかり。


やがて旦那さんは近くに居る人に、心の穴埋めを求めるようになってしまったんだろう。寂しさを紛らわすために。


やはり、二人の距離は重要だ。


どんなに信じ合い、愛し合っていても離れている時間が長ければ長いほど心の隙間は広がっていく。触れたいのに触れられない、温もりを感じたい時に感じることのできない時間に耐えられなくなった結末。


だんだん自分のことのように思えてきて、胸が苦しくなってくる。



「なんだか、悲しいね。何とかならなかったのかなあ……」

「なんとかなってたら、俺が困る」


吐き捨てるように、海斗が言った。
確かに、河村さんが旦那さんと仲良かったなら海斗の入る余地はない。



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