聴かせて、天辺の青
「大丈夫って言うならいいんじゃないかな、家に居ても退屈だと思う。それに……彼女が居てくれるだけで空気が違うから」
海斗に遠慮しながらも、はっきりと言ってくれた彼の言葉が嬉しくて照れくさい。彼の顔をまともに見ることができないほど恥ずかしくなる。
そんな答えを海斗はおおよそ予想していたのか、呆れた顔で頷いた。
「しょうがないなあ、だったら迎えに来てやるよ、おばちゃんに車借りるのは気を遣うだろ?」
「海斗、ありがとう。でもおばちゃんの家にも行きたいんだけど……」
「朝の手伝いか? やめとけよ……、だったら俺は何時に迎えに来たらいいんだよ」
私が毎朝早く出かけていることを知っているから、海斗は目を見開いて驚く。さすがに海斗にまで早起きしてもらうのは気の毒だ。
「俺が迎えに行きます、ゆっくり歩いて。バイトの送迎はお願いしてもいいですか?」
申し訳なさそうに彼が問いかけると、海斗はふうっと大きく息を吐いて
「わかったわかった」
と、めんどくさそうに答えた。