聴かせて、天辺の青



英司は頭がいい。


定期テストの後、職員室前の掲示板に成績順に上位20人の名前が貼り出されることになっている。その中の一、二番には必ず、英司の名前が載っている。


誰よりも努力家で、部活しながらも成績を維持しているのは、相当頑張っている証拠だ。塾にも通っていないのに、すごいと思う。


とくに理数系が得意なのは、私とは正反対。もちろん、私にも勉強を教えてくれる。


「夢ぐらい、見てもいいだろう? 瑞香にも夢はあるだろう?」


珍しく英司が強い口調。
こんなにも野心を剥き出しにするなんて。


「夢? あるけど……英司の夢って何なの?」


私の夢なんて聞かれても困る。
具体的な夢なんてない。


幼い頃にはケーキ屋さんとか保育士さんとか……それなりにいろいろとあったけど、今は特にない。


ただ漠然と、隣県の短大に入る。
それだけ。


その後は隣県で就職か、地元に帰って就職か……まだ、そこまでは考えられない。


「俺の夢なんて、そんな大袈裟じゃない……いろいろ言ったけど、電力会社に就職したいんだ。そこの発電所に勤務できたら家から近いし」


照れ臭そうに話す英司の横顔に、ズキンと胸が痛んだ。


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