聴かせて、天辺の青
一階に下りたおばちゃんは、すぐにお粥を作り始めた。私は和田さんたちの食事の準備を手伝う。
時折、頭の中に浮ぶのは彼のこと。
彼が熱を出したのは、今朝海に落ちたのが原因じゃないか。だったら勘違いとはいえ、私のせいかもしれない。
罪悪感が膨らんでいく。
「瑞香ちゃん、私はコレ持って行ってくるから、しばらくお願いね」
「うん、わかった」
おばちゃんがお盆を抱えて二階へと向かう。その姿が見えなくなったら、自然と溜め息が漏れた。
なんて情けないんだろう。
良かれと思ってしたことが、裏目に出てしまったんだ。
もうひとつ溜め息を吐いたら、ちょうどおばちゃんが戻ってきた。
「どうだった? ちゃんと食べた?」
おばちゃんが話し出す前に尋ねた。沈みそうな気持ちを悟られぬように、声のトーンを上げ気味に。
「大丈夫よ、ちゃんと食べて薬飲んだから、寝たら熱は下がるよ。季節の変わり目だから、きっと弱ってたんだよ」
と言って、おばちゃんは私の背中をぽんっと叩いた。にこりと柔らかな笑みを見せながら。
何だか、すべてを見透かされてるみたいで。
恥ずかしくて、私は黙って頷いた。