天使な悪魔
「えっ?小桃ちゃんが遅刻?」


今まで一度も遅刻なんかしたこと無かったのに。


開店の準備中、広江がぎこちなさそうに言った。


「それがさ、未だ連絡来てないみたいで…。」


小桃ちゃんの名前を聞くのは心苦しかった。先日あんな光景を見てしまったし。


「そっか。」


私は何事も無かったかの様に振る舞う。


「七瀬・・・。言いにくいんだけど、鶫さんは止めておいた方が良いと思う。あの二人が一緒に居ただけじゃ、何とも言えないけど絶対遊び人だよ。」


私はテーブルを拭きながら態度に出ないように動揺を隠した。


まさか、二人今も一緒に居るなんてこと、無いよね…?鶫さん、何時もの時間に来店するよね?昨日に今日も彼の来店の曜日だし、絶対来るって。


言い聞かせていたつもりだったけど、結局彼は来なかった。そして、小桃ちゃんからも連絡が無い侭だった。






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